展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

宮脇昭彦 のプレビュー&レビュー一覧

 昨年(2008年)、同会場で開催された展覧に続いての発表だ。宮脇昭彦氏がプロダクトに展開することを前提にデザインした器に、新たに赤絵を施そうというテーマは前回展から引き継がれるものだ。
 ところで、作者がプロダクト用に考案した器種の基本は、碗、鉢、皿。それら各々の側面の形状が異なるタイプに、さらに丸、角、撫で角など平面形状の違うもの、そこに各サイズを組み合わせて全体が構成されている。傍流として、茶器や調味料の器なども考案されているが、全種類を合わせてもせいぜい20余種と意外なほど少ない。もちろん現代日本の多様な食生活や住・生活環境なども考慮して、器形にはムダがなくミニマムで、用途にも過不足なく対応できるものが考えられている。
 そしてそれらの器には、無地の白磁と、染付による4種の模様(点、縞、ジグザグ、苺文)がつけられている。
 最終的に、今回新作発表されたなかのどの赤絵模様が、上記のプロダクト用として採用・展開されていくかは別として、伸びやかな縞などの線文、情感漂うドット、有機的な兎文などの活き活きした赤絵を見ていると、どれを選んでもすでに器の模様として魅力的で、しかも充分に整理されているように感じられる。作者自身によれば「模様を考えていると切りがない」そうだが、宮脇氏の持ち味の一面をとてもよく示しているようにも思われた。

上左●「四ツ碗(幾何文)」(発表価格17,500円)蓋は碗としても利用できる。もともとは茶懐石用の漆器の四ツ椀が発想の原点だとか。 上右●2008年に続いて同様のテーマで開催された新作展。器以外では、白磁の陶板や花入なども発表され、これらの作も衆目を集めていた。

宮脇昭彦氏がプロダクト用に型状をデザインした素地に、自らがオリジナルな赤絵を施すという展覧会が開かれた。今回発表されたこれらの絵付のなかから量産に向く意匠を選んで絞り込み、いずれ工場で生産されるベースの絵付にするプランという。とはいえ、これらは実験的な試みの仕事の水準になく、作者は完全な本気モード。どの作を眺めていても楽しく、すぐに食卓で使ってみたくなるような興趣を誘うのはさすがだ。それにプロダクト用の素地が使われているためだろうか、価格が廉価に抑えられている。径17㎝の「赤絵鉢」が6000円、「カップ」3600円、「クリーマー」4500円など、お買い得感もたっぷり味わえた。磁器土を無釉焼成した陶板も出品されて壁面を飾り、衆目を集めていた。
左●この陶板のような、器の用途から離れた仕事はほとんど見られない。 右●筆使いからは、作者の鼓動が伝わってくるようだった。

「赤絵マグカップ(小)」は5,000円。
量産されればもちろんこの「赤絵碗」も各サイズで補充がきくだろう。
こちらの陶板には足がついていて皿としても使える。