展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

三上亮 のプレビュー&レビュー一覧
  • 2009年3月31日~2009年4月 7日
  • 三上亮 展・JOY
  • 日本橋三越 (東京都中央区日本橋室町 TEL.03-3241-3311)
 近年開かれる三上亮氏の個展で発表される作品は、一見、同じ作者によるものと思えないほど多様だ。積極的に、個展毎に異なるテーマに取り組んでいるからだが、基本的な創作の目的はなにも変わっていない。
 どんな形をした、どのような装飾の作を作るかという以前に、まず「土を焼成することで、違ったものへと変容させなければやきものではない」という考えが、この作り手の原点にある。さらに「土を焼いて玉のようにする」のが、陶芸の醍醐味とも思っている。それらのことを念頭に、本展会場を巡ってみたい。
 今回の出品作はすべて、手捻りによって成形され、電気窯で焼成されている。表面の白い釉にも見える素材は、いわば化粧土と磁器土の中間のような存在という。それを高温焼成することによって変容させ、素地土との区別がなくなって一体感を伴うほどにするのが制作の狙いのひとつらしい。
 また、作品が白く見えることにこだわったのは、本展では雪景色を表現したかったからだ。ふわふわと降り積もった白く柔らかな雪景色と、他方、トルソーでは同様な雰囲気を持った女体を作って見せているのだ。造形的にとくに注目すべき点は、花器などの口作りと茶碗の高台作りだと感じた。どちらも自然な形に見えるようにまとめられながら、ところが作者は、強く意識を払って作為的に作っていることを鑑賞者に気づかせないように、実に用心深く仕事をしているのだ。
 十年一日の作陶が方々で見られる昨今、陶芸家としての本質的なテーマに取り組み、確実にステップを上がっているように感じられる三上亮氏の仕事からは、なかなか目が離せそうにないと思った。
上左●制約なく、自由な形を求めて制作された「Yokotawaru Torso」(発表価格は682,500円)。上右●雪景色をテーマにした「花器」H38.3㎝(241,500円)。口縁部と脚部には鉄が塗られポイントになっている。
今回の制作は、かなり自由に、手応えを感じながらやれたという作者・三上亮氏。
「茶碗」(210,000円)。どの茶碗も、個性的だが自然に感じられる高台の作りがとくにいいと感じられた。
この「花器」(168,000円)のように、口作りにデザイン的な処理を施した作も数点、出品されていた。
最近の三上展は、どんな新作が出品されるか予測不能、会場を訪れるのが楽しみだ。本展ではおよそ80点ほどの新作が展示された。
  • 2008年9月 6日~2008年9月11日
  • 三上 亮 個展
  • 銀座 黒田陶苑 (東京都中央区銀座 TEL.03-3571-3223)
かつてのように、絵筆を一気呵成に運ぶ絵付の仕事はこの頃ほとんど見られない。本展の出品作でもそうで、茶碗や徳利、片口などの形は確かに馴染み深い作者らしさを感じるが、しかしこれらを作るために使われている土や釉薬、穴窯焼成することによって導き出された装飾性や素材感には、既存のやきものにない未知で、独特の世界観がある。「土ものの焼き方を、やっと見つけた気がする」と作者はいう。やきものの焼成を基本から改めて見直し、そこに生じてくるものを見逃さず、次にそれを独創的な形に採り入れようとする。そうして作られたものだけが、きっと時代を超えて生き続けるであろうことを、三上亮氏は証明しようとしていると思った。
左●「三面器」H38.0 W25.2㎝ 2008年 右●会場で観覧者と気さくに話す作者。
しっかりと焼き込まれた長方皿。
「三面器」には人気が集中し完売状態だった。
いかにも「やきもの」らしさが漂う湯呑み。