展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

 初個展から数年にして、敏感なファンの心をつかんだ大村剛さん。「ポリリズム」と題された新作展を見た。ポリリズムとは、"音楽用語で、異なるリズムを同時に演奏することで、さらに別次元のリズムが生まれること"とDMにある。大村さんは最近この言葉を心に刻んで制作しているそうで、会場には新しさの気配もした。作品は食器、茶器、花器、陶板、オブジェなど多彩だが、大きくいうと3傾向にわかれるようだ。まず、従来からの、黒を基調に銀彩やシックな赤・緑で色付けされたもの。薄手で焼締まった質感は金属を思わせるが、どこかやわらかい。形は、ストンとした円筒形や平面とかのシンプルなボディに、ちょっこっと羽のような突起物が付いていたりするのが特徴だ。これらの色や形は一見無機的なようで、心に響く余韻を残す。また最近手掛けているという楽焼にも注目。これまで大村さんの作品は、器の形はしていても、食器として使うよりむしろ近くに置いて眺めていたい、という感じだったと思う。それがこの楽焼作品は「あぁお茶を入れて飲んでみたい」とすぐに思ったのだ。さらに半磁器の器は、白を基調に装飾性を薄め、形もより大らかに見える。

 もしかしたら、少しずつなにかが変わりはじめているのかもしれない。工房を故郷・九州に移し静かな制作環境を得た作り手の、次も見逃せない。(K)

左●エントランスには「ポリリズム」をかなでるように傾向の違う器たちが並んでいた。右●クリーム色にグレーがきれいな楽焼作品(4,200円)。奥には不思議な魅力のミニチュア・オブジェ(3,150円)

三角帽子の茶入や急須たち。来年台湾で開かれる展覧会に向け、茶器に力を入れているとか。
ギャラリーcomoの会場風景。陶板や小さなオブジェも見逃せない。
定番のカップ類が並んでいた。ペン立てや花入として、飲み物を入れないのもいい。