展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

 展示されている作品の端々には、キラキラと輝いて見えるものがある。なんだろう? ネール・アートなどに使われるジルコニアを使ったのだという。そう聞いていて、しかつめらしく異種素材の利用だとか、焼いていないなどという意見もあるだろうが、工芸品として考えれば、こんなデコレーションだってあり、と作者は考えたらしい。それは余裕から生まれた、ちょっとした児戯の一種と捉えられないこともない。それよりむしろ、壁に取り付けられた三味線のような、あるいはバンジョー形をした、鋳込み成形による磁器のオブジェには、まったくの独自性があって興味深い。未知の惑星の地中から掘り出されたもののような、風変わりな気配を濃厚に漂わす。ここには当然ながら、作者のあらゆる興味とこれまでの視覚的記憶の凝縮が窺え、それらがとてもスマートに造形化されていると感じた。壁面に掛けるタイプのオブジェを長く作り続けてきた森野彰人氏ならではの仕事だと、納得させられる内容の展観だった。
左●会場のあちこちが星の瞬きのようにキラキラと輝いていた。右●バンジョーの形をした磁器のオブジェ。壁面のオブジェは30万円台の発表価格。
小品の筥なら44,100円、青白磁の酒杯は15,750円だった。
穴の開いた器は、若手陶芸家の安易な器作りに対するアンチテーゼでもある。
磁器の蓋ものにもジルコニアが輝いていた。
母校・京都芸大では後進の指導にもあたる作者・森野彰人氏。