展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

  • 2009年10月 3日~2009年12月23日
  • 川喜田半泥子のすべて
  • 岐阜県現代陶芸美術館 (岐阜県多治見市東町 TEL.0572-28-3100)

 三重県津市に本拠をおく川喜田家は、東京・日本橋大伝馬町に寛永年間から続く木綿問屋を営む豪商だった。川喜田半泥子(KAWAKITA Handeishi 1878-1963)は、この老舗大店の15代目の長男として生まれた。家督を相続して16代を襲名、商家の当主として、また銀行の頭取など数々の企業の要職に就いて財界で活躍しながら、その一方で、陶芸、日本画、書、木版画、建築、油彩画、写真、パステル画、俳句など、各方面に芸術的才能を発揮した作り手として知られている。
 とはいっても、半泥子と同時代に生き、親しく交流して影響を受けた若き陶工・荒川豊蔵(1894-1985)、中里無庵(1896-1985)、金重陶陽(1896-1967)、三輪休和(1895-1981)らの職業作家としての歩みとは異なり、あくまでも生涯アマチュアとしての立場を保って創作活動を続けた。そして作られた多くの作品は主に交友関係に贈られるなどし、これまで愛蔵されてきたという。そのために、まとまった数の作品を鑑賞する機会にはあまり恵まれず、また、プロ作陶家らに較べて、作品が紹介された資料なども多いとはいえなかった。本展ではおよそ220件(点)におよぶ出品作を見ることにより、陶芸や書画を中心にしてその全貌に改めて触れ、川喜田半泥子の芸術を存分に楽しむことができる構成になっている。
 とくに、50歳を越えてから本格化した作陶は破格で、趣味の域をはるかに超えて、当時の陶芸界に革新的な息吹を吹き込んだといわれている。その特徴はなんといっても、「桃山茶陶の再現に留まることなく、その時代の作陶想念に心通わせ、焼成の方法を根本から見直す」(「からひね会」)精神を礎とし、桃山陶芸の魅力を充分に見極めながらも、作る目的をそれらの再現や模倣とはせず、あくまでも作陶を楽しみ、自らの世界を作ろうとしたことにある。
 そうして作られた茶碗など数多くの茶陶類は、茶の湯に対する理解を背景にしつつ、どこかユーモラスで壮大な思いを込めた作に仕上がっている。また類型や様式にとらわれておらず、これら遊び心にあふれた作を見ていると、ふと、気分が和む感じさえする。
 ときに「東の魯山人、西の半泥子」などといわれることもあるようだ。奔放で多作という意味では重なるところがあるにしても、創作の内容はかなり異なり、やや誤解を招くいわれ方のような気もする。いずれにせよ、本展によって偉大なディレッタントとしての川喜田半泥子の陶芸の位置づけ、あるいは近代作家としての評価が、より鮮明に際立ってくるように思える。 

上左●「黒茶碗  銘・すず虫」制作年不詳 個人蔵  上右●「半泥子自画像」制作年不詳 個人蔵

 

*なお、同展の関連行事として以下が予定されています。
■記念呈茶会「半泥子の茶碗で楽しむ」(先着 限定100名)
日時:2009年11月3日(火・祝)11時~15時 場所:セラミックパークMINO 茶室 料金:500円 協力:表千家紅谷社中、石水博物館

 

■ギャラリートーク
本展会期中の毎週日曜日 13時30分から 同館学芸員による展示案内

 

◆チケット・プレゼント
本展の招待券を、ペアで5組(10名)の読者の皆さまに抽選のうえプレゼントします。ご希望の方はお問い合わせフォームからお名前と、内容欄に「川喜田半泥子展 チケット希望」と記入し送信して下さい。なお、発表は発送にかえさせて頂きます。

「粉引茶碗  銘・雪の曙」制作年不詳 石水博物館蔵
「黒織部茶碗  銘・富貴」1940年頃 個人蔵
「高麗手茶碗  銘・雅茶子」制作年不詳 石水博物館蔵
「伊賀水指  銘・慾袋」1940年頃 石水博物館蔵