
0072号
2012年01月26日更新
「やきもの屋として、使えるものを作り続けること」が、この作者の底流をなすシンプルにして揺るがない屈強な心情だ。だから表現とか創作という上っ面を撫でただけの言葉にも躍らされず、しかし時代に合致した使いよい器をひたすら思い、作り続けてきた。たとえば、本展でもとくに人気を集めている織部は、学生時代から窯跡を訪ね、桃山時代の陶片を見て歩いてきた。そうして多くの情報を自らで得た結果が、情緒にのみもたれかかった茶陶などの仕事に向かわせず、いわば潔い、かつ使って心地よい現代の織部の器を作る方向へと進ませたという。つまりこれらの仕事も、多くの桃山織部を見たうえでの作者なりの解釈だという点に留意したい。形・装飾、さらに使い勝手のよさを、時代を意識しながら、すっきりと迷いなくまとめられたのが、小川博久氏の作るやきものの特徴だといえる。
左●「伊賀織部方円皿」。発表価格は315,000円。 右●織部作品を目当てに会場を訪れる人も多かった。