展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

 一昨年、京都(アサヒビール大山﨑山荘美術館)で開かれた展覧会に続いて、東京ではこれまでで最も規模の大きな前田正博氏(MAEDA Masahiro 1948-)の全貌を知ることのできる展覧会が開かれる。新・旧合わせておよそ100点ほどの代表的な作品(会期中に一部展示替え)により、作者の作り出す独創的な色絵磁器の魅力に迫ろうという好企画だ。
 有田や九谷、京都などの磁器の産地と並び、色絵を表現手段として選んで作家活動を行おうとする若手が、毎年、東京芸術大学を巣立つために、同校は「東の色絵の牙城」などともいわれる。前田氏もそんな環境のなかで学び、育った作家のひとりだが、白い磁肌の余白を活かし、写実的な花鳥風月や伝統的な幾何学紋様が描かれる色絵磁器の典型とは異なり、個性的で特異な色絵作品を焼く作家として注目されている。
 その特徴は、立体的な磁器の器胎に、まるでキャンバスに油絵の具を塗ったかのように全面に絵付が施されることだ。初個展(1980年)以来、作者によれば「やり足りない感じがして」、作る毎に少しずつ塗られる範囲が拡大し、やがて全体が塗り潰されるようになっていったのだとか。色絵磁器の伝統には余白を残して絵付をするという様式や、既成概念のようなものがある。いわば前田氏の自由な表現はそれらに対する挑戦でもあり、同時に色絵の新たな可能性を示しているともいえるだろう。
 都会的な洒脱さが感じられ、近作ではさらに重厚感も加味され、本展ではそれらの作品が一堂に鑑賞できるという。前田正博氏の色絵の魅力に触れる、絶好の機会になりそうだ。

上左●左「色絵金銀彩面取鉢」H24.5 W25.5cm 2005年 右「色絵金銀彩面取鉢」H24.5 W24.5cm 2006年 上右●「色絵金銀彩輪花鉢」H13.0 W42.5cm  2002年

 

*なお、同展の関連行事として以下が予定されています。
■対談「前田正博の歩んだ道」
前田正博氏×林屋晴三氏(菊池寛実記念 智美術館館長)
8月1日(土) 15時から
■学芸員によるギャラリートーク
7月4日(土)、11日(土)、18日(土)、8月29日(土)、9月5日(土)、19日(土) 各14時から


 

◆チケット・プレゼント
本展の招待券を、ペアで5組(10名)の読者の皆さまに抽選のうえプレゼントします。
ご希望の方はお問い合わせフォームからお名前と、内容欄に「前田正博展 チケット希望」と記入し送信して下さい。なお、発表は発送にかえさせていただきます。<<多数のご応募をありがとうございました。「チケット・プレゼント」は締め切らせていただきました>>

「色茶盌」H8.6 W11.8cm 2009年
「色絵面取水指」H20.0 W14.5cm 2009年
「色絵金銀彩輪花鉢」H19.0 W41.0cm 1987年
智美術館前に掲出されたポスター。来館の目印に!