展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

  • 2009年3月 4日~2009年3月16日
  • 吉川千香子 展
  • Azabujuban Gallery (東京都港区麻布十番 TEL.03-5411-3900)
 見ていると気分が明るく弾み、ウキウキするような華やいだ展覧会が開かれている。
 愛知県常滑市で仕事を続ける、吉川千香子氏の新作展だ。陶芸家としてのキャリアは長くなり、もうベテランの域に入る作り手だが、著しいユニークさが作品に現れ、保たれているのは少しも変わりなく健在だ。
 今回の出品作の中心は、プレートと明かり。プレートにはお子さまランチか給食で使われる皿のような仕切があり、しかもその仕切が、色絵と連動して作られているという、いかにも楽し気な作だ。モチーフは、鳥、豚、虎、犬などの動物や、花とか人の顔など多彩だ。どれもこれも見ていると、思わず口元がほころんでいってしまうのは、すなわち吉川陶芸の説得力だろう。なぜ、このようなプレートを作ったかを問うと、「ウチは家族が多く、食器の後片付けも大変だから」ととても明解だ。こんな皿があったなら、きっと食事が楽しくて片付けも簡便だろう、というのが制作の主な動機だ。そうだ、それ以上の理屈はなにもいらないはずだと、共感させられる。
 本展のもうひとつのテーマが、磁器という素材の透光性を利用して作られた照明だ。キャベツやピーマンなど野菜から型を取り、それらを組み合わせ手捻りでひとつにまとめて仕上げられている。もし、こういうものが部屋にあったら、きっと子供たちは喜ぶに違いない、と断言できる。こんな遊び心を形にしてしまえるのが、この人の特徴のひとつだ。
 長くやってきても技術的に成長しないと作者はいうが、これらに象徴される一連の作を発想し、作り続けてきた吉川千香子氏の個性的で独特な作品作りは、これからも変わらずに続くであろうと再確認できた展覧でもあった。
上左●「プレート」発表価格は21,000円(大) 上右●作者本人はもとより、最近では千香子門下生の若い陶芸家らの活躍も目立つようになってきた。子育てはお得意だ。
プレートは80点ほどが発表された。21,000円~15,750円と求めやすい価格帯だ。
朝食やランチには、まさにもってこいのプレートだ。
型と手捻りによる磁器土の照明は、10余点が発表された。
会場には「色絵カップ」(4,725円)、「小さなカップ」(4,200円)などの小品も並んだ。