展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

 2004年から、春の花のシーズンに合わせて開催されている「花」をテーマにした所蔵作品展が、今年も開かれる。本展ではとくに、同館の陶磁、漆工、染織、ガラスなど約2700点におよぶコレクションのなかより、花の模様や形に焦点をあてて作品が選定されるという。
 全体は「花の意匠と模様」「花の形」「心象としての花」の三つの切り口で構成・展示される。「花の意匠と模様」では、松田権六(1896-1986)の「玉すだれ」のような写実的な模様や、創造的にパターン化された富本憲吉(1886-1963)の「四弁花」など。「花の形」には花弁の形態を作品そのものの造形に取り込んだ増村益城(1910-1996)の「花蓋物」に代表される作、さらに「心象としての花」では、藤田喬平(1921-2004)の「夜桜」など。なんのよりどころもなく作品鑑賞するのとは違い、「花」という誰にとっても親しみ深いテーマに沿っての特集なだけに、アプローチしやすく一層の興味もわいてくるはずだ。もちろん工芸館の所蔵品だけあって、どれも屈指の名作・名品ばかりであり見応えも充分。日本の近代工芸の歴史の概観をたどりつつ、各作家の創意を感じることができるだろう。
 春の花見のシーズンも間近だ。昨今大人気の千鳥が淵の桜はいずれはかなく散ってしまうが、そのすぐ脇に建つ工芸館の展示室では、永遠に作品のなかに咲き続ける花々をじっくりと鑑賞できる。春の必見の展覧会のひとつとなりそうだ。
上左●富本憲吉「色絵金銀彩四弁花染付風景文字模様壺」1957年 上右●増村益城「乾漆花蓋物」1978年 作品は2点とも東京国立近代美術館蔵


■同展のギャラリートーク
3月15日14時~ 唐澤昌宏同館主任研究員/4月19日14時~ 北村仁美同館研究員
■チケットプレゼント
本展の招待券をペアで5組(10名)の読者の皆さまにプレゼントします。

ご希望の方は、お問い合わせフォームからお名前、ご住所と、内容に「花展 チケット希望」と記入し送信下さい。なお、発表は発送にかえさせていただきます。

松田権六「蒔絵玉すだれ文盤」1953年
荒川豊蔵「志野茶碗 銘 氷梅」1970年
鈴田照次「木版摺更紗着物 花文」1979年
藤田喬平「飾筥 夜桜」1996年
作品はいずれも東京国立近代美術館蔵