
須恵器を思わせる灰白色の素地に、淡く美しい青緑色の自然釉が、地図上に記される河川のように流れた作品を見た。
素地に用いる土は、伊賀土を中心にいく種類かの土をブレンドして作者自らが作る。焼成は自作の半地下式の穴窯だ。といっても、重油を燃料にしたバーナーで炙り焼き、土が焼き締まった頃合いを見て、コナラなどの灰を投入する。その後に薪を放り込み、窯を密閉し還元状態にして燻し焼くという。このいわば須恵器風な独自の燻し焼きによって、素地土が灰白色に仕上がるのだという。思うような焼成結果が得られれば、「楽に焼きたい」と合理的に割り切っている割には、なかなか面倒で手の込んだ焼成方法を選択している。
しかしその甲斐あってか、会場に並んだ大壺、花入、水指、瓶子、皿、酒器などは、どれも白く焼き締まった器胎に、霜が降りたように輝く地肌に、自然釉が流れ落ちる印象深い作だ。また、高温焼成による土のヘタリ止めの跡が装飾ともなり、作品にアクセントを添えている。
陶芸家としての前途を予感させるような、辻村唯氏の新作展だった。
左●小品ながら存在感ある「自然釉花入」 右●父・辻村史朗氏に師事し、2002年に独立。2009年6月、名古屋・丸栄にて個展予定。