
土や釉などの素材に固有の性質や、また焼成を経ることによって起こる様々な変質に着想を得て、作品化してきた作者ならではの新作が出品されていた。
壁面に展示された角型の陶板は、磁土にスポンジを浸して基本形が作られているという。そうして成形されたボディにさらに、焼成の際に作品と窯の棚板とのくっつきを防ぐために使われているアルミナ粉や、長石粉などを掛けて焼かれている。ザラっとした質感や表面がめくれたりしていて、素材の表情がリアルに迫ってくる作品だ。一方、角形のやや小型の陶板はといえば、磁土にキッチンペーパーを浸して焼かれたものだ。磁器土の白さと対局をなす黒い装飾は、銅線や粉末の銅を焼いて得られた色と、焼きの表情というわけだ。
器としての用途を意識した作も出品されていた。これらも造形的作品と同様に素材独自の性質や必然的な力を引き出しながら、膨らみやカーブ、凹みなどが作られている。それらの自然な形や、釉の溜まりの色などが繊細で美しく、陶という素材に対する鋭く深い眼差しがなければ生まれない作ばかりだと思った。
左●高い足がついた箱膳のような皿は、オブジェとしても美しい。右●キッチンペーパーを利用して成形された陶板(壁面)。左は金属と陶を組み合わせたオブジェ。