展覧会への招待

Exhibition previews & reviews

  • 2008年11月 7日~2008年11月12日
  • 渡辺愛子 作陶展
  • 穴窯陶廊 炎色野 (東京都渋谷区渋谷 TEL.03-5485-8922)
 三重県・伊賀で穴窯を焼く本格派の個展を見た......、という凡庸なフレーズは、あちこちで耳にする機会も多く、取り立てて関心を持つほどでもないと思われるかも知れない。だがその作者が、若い女性だといったらどうだろう。
 作者は美大時代絵画を専攻し現代美術に傾倒していたが、そのうち、土を使ってなにかを作ってみたくなったらしい。そこにもともとの古いものを好む嗜好が重なって、滋賀県・信楽で穴窯焼成を学ぶことを決意させ、その魅力に一気にハマっていったという。独立の地は伊賀に定め、すでに3基の穴窯を自らの手で築いている。
 本展の出品作は、茶碗、水指などの茶陶から、壺、花入、蹲、また酒器や食器類など、穴窯焼成だからこその独特な美しい装飾もさることながら、どれも細部の仕上げも手を抜かず作られていて、好感が持てる作品群だ。すでに一部の熱心なファンが後押しをしはじめているようで、これから造形がどのように個性的に開化するか、大きな期待をもって見守りたい本格派焼締め女性作家といえそうだ。
左◆花入や鬼桶など、野山の花を投げ入れてみたくなる力強い作品。右◆会場の炎色野(ひいろの)での展観は初窯展(2001年)以来8回目という。右は作者。
ビードロの美しい伊賀、緋色の信楽。少し小振りで多彩な徳利たち。
焼き味と形を愛でたい焼締めぐい呑はコレクションの定番。(8,920円)
小品でも魅力ある箸置(1,050円)はお買い得。
最近手掛けているという粉引(左)は窯場に井戸を掘った際の赤土が出発点だそう。中央は「鬼桶」(52,500円)