
0073号
2012年04月11日更新
南から瑞々しくカラフルな器たちがやってきた。作者は沖縄県那覇市在住の東恩納美架(HIGASHIONNA Mika)氏。期待の新進作家だ。会場に並んだ、あるいは壁に掛けられた作品には、絵具ではなく化粧土を使って抽象画のような模様が描かれている。そのほとんどが異なる配色と構図なので、まるで器という立体をキャパスにした「100+1」の絵を見るようで、興味をそらせない。
その色に特徴がある。少女のような可愛らしさの一方で、どこか物憂げなのだ。しかも一色一色が厚く塗られ、筆を引きずった痕跡が油絵具のように固まって際立って見える。器の絵付としては、とても強い印象だ......。前に見た展示ではオフホワイトやグレイの色調が中心で、ソフトで都会的な器というイメージがあった。だからその違いに興味をもって作者に聞いてみると、「これが沖縄の色なんです」という。潮に焼け、退色した色こそ小さい頃からいつも身近にある風景なのだと教えてくれた。それを美しいと感じる気持ちが、一連の作品には込められていた。
そんな言葉を聞いて展示を振り返ると、これまでとは違う沖縄の風景が見える気がした。展覧会には、思いがけず、こんな楽しみもある。
左●飾っても、もちろん盛っても楽しめる皿。8,190円
右●東京初個展の作者。沖縄県立芸大大学院を出て地元・沖縄に工房をもつ。まだまだ未知の引き出しがありそう。