日光下駄への憧れ

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 かつて、日光の土産なら日光下駄、といわれていた時代があったといいます。アスファルトとコンクリートに囲まれた現代の暮らしでは、ほとんど下駄を履く機会のないのは現実ですが、それでも憧れだけはあるものです。遠い体験と記憶が、まだどこかにひっかかるように活きているからでしょうか。
2011-06-28henshubu-geta2.jpg 日光木彫りの里工芸センター(写真左)では、日光彫りの製品が並べられ、また日光下駄の製作を見学することができます。日光下駄は下駄と雪駄が一体化したようなところに特徴があります。もともと日光の社寺に参拝する際は、草履を使用するきまりがあったのだとか。それが江戸時代の下駄職人らによって、雪や坂道にも適するようにと、草履の下に木の台をつけた「御免下駄」が創案され、社内参入に用いられてきたといいます。後にそれらがさらに改良され、現在のような形になったそうです。
 足を入れてみると、カサカサとした竹の子の皮で編み込んだ草履表の感触が心地よく、これならば汗などで滑ることもなさそうですし、冬場はきっと暖かみも感じられることでしょう。長く日光下駄だけを愛用するファンもいて、ここでは草履表だけの張り替えにも応じてくれるといいますから、安心して履き続けることができそうです。
  2011-06-28henshubu-geta1.jpg とはいっても、街には和服姿は滅多になく、下駄や草履の出番はまずなさそうです......。それに今年の夏は、警備上の問題やら景気後退の影響もあってか、首都圏の花火大会は中止になるところも多いといいます。これによって、毎年の、浴衣を着る唯一の機会も失われてしまったかも知れません。
  昨今の日本人の生活様式のなかでは、よほどの変容と工夫をしたとしても、残念ながら、伝統のきものや下駄の生きる道幅はますます狭くなっていくばかりのように感じます。ただの憧れで終わるよりも、せめて近所への散歩の折には、下駄でも履いてみようと思うのです。(三)2011/07/05
◎日光木彫りの里工芸センター(日光市所野2848) TEL.0288-53-0070

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