里山にひっそり点在する陶産地・小砂(こいさご)

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 柳宗悦が「このほか那須郡に小砂(こいさご)と呼ぶ村があって窯が立ちます。材料はむしろ益子に優るのではないでしょうか」(「手仕事の日本」岩波文庫)と、書き残しているのが、ずっと気になっていました。たまたま近くに出かける予定があって、「小砂」まで足を伸ばしてみました。
10-07-27 henshubu-koisago1.jpg 現在の栃木県那須郡那珂川町小砂は、江戸時代には水戸藩領に属していました。窯業を興そうと考えた水戸藩主が領内で陶土を探させたところ、1830(天保元)年に小砂から良質の陶土が発見され、ほどなくして日用雑器などが焼かれはじめたといいます。また、明治後期には磁器も焼成されたようですが、これは長くは続かず、昭和時代に入ってから、再び陶器と磁器がともに作られるようになった産地です。
  10-07-27 koisago2.jpg 地図で調べると、常磐自動車道の那珂インターから1時間ほど。鮎で有名な那珂川を少し外れた静かな山間に、陶産地・小砂はひっそりとありました。現在でも8軒ほどの窯元が操業しており、いくつかの展示場や窯場は予約なしでも見学することができます(上・左写真)。飴釉や糠釉、粉引、青磁、灰釉などの日常に使うによさそうな器が、比較的求めやすい価格で並んでいます。
 また近くには、隈研吾氏の設計でよく知られる「那珂川町馬頭広重美術館」や馬頭温泉などもあり、町営「ゆりがねの湯」(下写真)などでも日帰り湯で気軽に汗を流すことができて爽快です。
 200年近い伝統を持つ小さな産地の窯元は、目に痛いほどの緑が広がる静かな里山のなかに点在していて、宗悦が訪れた往時を想像しながら歩くと、一層の感性を刺激され、思いのほか充実した1日になりました。(三)2010/07/27 10-07-27 henshubu-koisago3.jpg

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